ショートムービープラットフォーム「TikTok（ティックトック）」を運営するTikTok Japanは、2023年4月11日（火）に「第16回TikTok Japan セーフティパートナーカウンシル」を開催しました。当日は、TikTokセーフティパートナーおよび有識者・関係省庁の皆さまにご参加いただき、「性犯罪に関する刑法改正と、プラットフォームの役割」をテーマにTikTokが行うべき取り組みについて議論しました。
■基調講演
基調講演には、追手門学院大学 心理学部 准教授で、横浜思春期問題研究所の研究員も務められている、櫻井鼓（さくらい つつみ）先生をお招きし、「グルーミングとこどもの支援」をテーマにお話いただきました。「性犯罪に関する刑法改正の概要」「改正の背景と被害に遭ってしまう心理状態や被害の実態（対面・遠隔、同年代）」「被害に遭った子どものサポートのためのアクション」などについて、具体例もまじえてご講演いただきました。
現在、提出されている刑法改正法案では、法律の成立前ではありますが「性的グルーミング罪」は、威迫やうそを伴う16歳未満への面会要求などを処罰するものとされています。「撮影罪」は、性的な部位や下着、性交の様子などの盗撮を禁じるとともに、撮った映像を他人に提供・拡散する行為も処罰するものとなっています。
■ディスカッション
ご参加いただいたセーフティパートナーの皆さま、関係省庁の皆さまを交え、ディスカッションを実施しました。基調講演で論題となったグルーミングについて、櫻井先生の研究に関する詳しい質問も含め、現状への理解を深め、多様な意見が飛び交う時間となりました。主な論点と、それに対して議論の中で出たコメントの一部を下記にまとめました。
＜被害者の支援のために、周囲・社会ができること＞
- （カタリバ野倉氏）我々の提供しているスペースに通っていた中学二年生の女子生徒が、SNSで知り合った20歳くらいの男性に頼まれて下着の写真を送ってしまう、いわゆるグルーミングがあった。この件が発覚したのは、相談というより、むしろ大人びた恋愛をしているという自慢のような会話の中であった。相談に来る子は家庭が不安定で親に相談できない子が多いので、そこを踏まえ、良識を持つ大人と必ず出会える場所を提供できると被害が減るのではと考える。
＜潜在的な加害者を減らすためにできること＞
撮影罪については、現在、子どもたちの間でも、友人の着替えの様子をこっそり撮影したり、面白おかしく、それをSNSで共有したりすることもあると聞く。しかしそれは盗撮行為として、改正刑法では犯罪とされる可能性もある。このような場合、子どもたちに知ってもらう必要があるが、撮影罪などについて子どもたちの認知を高める方法は？
- （ストップいじめナビ須永氏）写真の撮影や送付をしちゃったけどいいよね？みたいな感覚の子がいるが、同時に違和感も持っていたりするので、それが罪になり得るという意識づけが改めて必要。法整備がされたことを子ども達に伝えるのは、やはり教育の現場が中心になってくるでしょうし、親御さんの伝え方も大変重要になるし、そこに手段としてのSNS の役割も重要になる。
＜TikTokなどプラットフォーム事業者ができること＞
- TikTokサイバーセキュリティ月間 取り組みの紹介
- TikTok Japan公共政策本部 公共政策マネージャー金子から、TikTokサイバーセキュリティ月間において、グルーミングの被害者向け・加害者向け啓発に取り組んだ背景、クリエイターと連携した動画やステッカーを使った啓発活動、政府/NPO相談窓口を紹介する特設サイトの作成といった取り組み等を紹介しました。
- 2023年サイバーセキュリティ月間「＃大切なひとを守ろう」特設サイトhttps://newsroom.tiktok.com/ja-jp/tiktoksafetycyber
- 櫻井先生からのコメント
- TikTokのようなプラットフォームが、グルーミング等に悩む子どもたちを、相談できるNPOや窓口に繋げてくれることは非常に重要と考えます。また、子どもたちがTikTokに集まる理由は、スクールカースト等のリアルな生活に疲れている中、優しい言葉をもらえて、自己表現ができるからで、（グルーミングの優しい・甘い言葉に頼らずにすむように）そうした場所があるのは大事なのではないでしょうか。
「第16回TikTok Japan セーフティパートナーカウンシル」開催概要
■日時：2023年4月11日（火）14:00 – 15:30
■テーマ：「性犯罪に関する刑法改正と、プラットフォームの役割」
■アジェンダ：
（１）基調講演
追手門学院大学 心理学部 准教授 櫻井鼓先生
（２）ディスカッション
■出席者(順不同/敬称略）
- TikTokセーフティパートナーのみなさま
- 認定NPO法人3keys（スリーキーズ）
- TDU・雫穿大学
- 特定非営利活動法人 国際ビフレンダーズ 東京自殺防止センター
- 認定特定非営利活動法人育て上げネット
- NPO法人ストップいじめ！ナビ
- 認定NPO法人カタリバ
- NPO法人ぱっぷす
- 総務省 総合通信基盤局 電気通信事業部 消費者行政第一課
- 安心ネットづくり促進協議会
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